ある法人さんの記念誌を制作した際、今回の記念誌に関連する言葉をデザイン的に表紙に掲載したい、というご要望がありました。いくつかご提案した中で採用されたデザインは、文字をあまり目立たないような濃度で地紋のように背景に散らす案でした。
「目立たないように」という濃度がなかなか難しく、プリンタ出力したもので「この濃度がいい」と言われても、印刷でそのとおりに出るとは限りません。本紙校正は必須だな、と思い印刷会社さんに相談したところ「マットPP加工でも色味や濃度が変わってしまうので、本紙校正だけでなくマットPP加工まで試した方がいいです」とのお返事。
PP加工とは、印刷用紙の表面にポリプロピレンのフィルムを圧着する加工で、保存性を高めるために本の表紙などはこの加工をすることが多いです。今回もその加工をしますが、普通のPP加工は光沢が出るのに対し、マットPP加工をすると落ち着いた印象になります。今回のようにわずかな濃度差で文字を見せようという場合は、これがどう影響するかがわからないから実際に試してみた方がいい、というアドバイスでした。
これを試すには費用がかかるのですが、クライアントさんのご了承をいただき、マットPP加工をしたものも作成してもらいました。
▲左がマットPP加工無し、右がマットPP加工をしたもの。背景色や文字の見え方が変わりました。
あがってきた色校正は、マットPP加工をしたもの、しないもので色味や文字の見え具合が異なりました。クライアントさんにも加工前・加工後をご覧いただき、ご納得いただいてデザインが確定しました。
年史や記念誌のように何年にもわたって読んでいただきたい、保存していただきたいというものは、ぜひきちんとした色校正をとりたいものです。
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