紙のメニューとタッチパネル

 

チェーン店の回転寿司に入ったときのことです。

入り口で「空いてるお席にどうぞー」と言われ、空いている席に座りました。回転寿司の店なので、テーブルに粉末のお茶や給湯器があり、棚に湯呑みが用意されています。テーブルの端には固定されたタッチパネル。

 

席に着いたら自分たちでお茶をいれタッチパネルで注文し、レーンを流れてくる皿を自分でピックアップして食事です。

食事が終わったらタッチパネルで「会計」を押してレジに行ってお支払い。

店員さんから声をかけれたのは「空いてるお席にどうぞー」と「○○○○円です。ありがとうございました」のみでちょっと寂しい気がしました。

 

 

回転寿司店でタッチパネルを操作する手が写っています。文章のためのイメージ写真です。

 

タッチパネルにはタッチパネルのメリットがあります。

人手不足や人件費の高騰のなか、効率化してコストを抑えることができるでしょう。

店員さんを待たずに注文できる、会話に困難のある方でも話をしないで注文ができる、などは利用者にとってのメリットでもあります。

 

一方で、タッチパネルの操作がわからない人、そもそもタッチパネルの存在に気づかない人、見えにくくて注文できない人…。

そんな人もいるはずです。

 

視覚に障がいがある方からは「タッチパネルは注文に苦労する」「タッチパネルでの注文と分からず店員さんがくるのを待っていた」というお話を聞きました。

高齢の方は「操作がわからない」「間違って注文してしまうのが怖い」とおっしゃっていました。

タッチパネルの利用に困難はない方でも、「お店の人におすすめを聞いたりどんな料理か教えてもらったりするコミュニケーションがいいね」とおっしゃる方もいました。

 

いろいろな方がいるのだから、最初くらいは店員さんがタッチパネルでの注文であることを伝えたり、操作方法がわかるか尋ねるなどのコミュニケーションがあると良いのではないかなぁと思いました。

 

 

そんなことを思っていたところ、先日数人の知人と入った飲食店は「両方あります」のお店でした。

店員さんが席まで案内してくれて、「タッチパネルでご注文できます。普通のメニューもあるのでお持ちしましょうか?」と聞いてくれました。

すかさず全員が「メニューください!」

 

紙のメニューは美味しそうな写真が大きく掲載されていたり、おすすめポイントが書かれていたり。視覚から食欲をそそられて、思わず注文の品が増えてしまいました。食べたいものが決まったら注文はタッチパネルで。

「両方あります」は利用者にとってはとてもいいなぁと思いました。欲を言えば、紙のメニューに音声コードがついていたら見えにくい方でも音声を聞いてメニューを選びやすくなると思います。

 

紙のメニューにもタッチパネルにもメリット・デメリットがあります。それを理解して、必要に応じて店員さんがサポートしてくれるとより多くの人にとって利用しやすくなると思いました。