音声コード ユニボイス(Uni-Voice)を掲載するにはいくつかの基本技術仕様あります。そのひとつに用紙の規定があります。
日本視覚障がい情報普及支援協会(JAVIS)のwebサイトには
「光沢及び凹凸のある用紙は、避けてください。 上質紙、再生紙(R100 白色度65%以上)、コート紙を推奨します。尚、色上質は、薄系統なら各色の色上質紙に対応可能です」
とあります。
あくまでも、見えない人、見づらい人への情報保障が第一の目的ですから、技術仕様に則ることは大切なことです。
とは言え「名刺やパンフレットにちょっと質感のある用紙を使いたい」ということもありますよね。
そこでどのような用紙で、どのようなサイズなら読み上げることが可能なのか検証してみました。
今回検証に使用したのは株式会社竹尾が販売している『アラベール』『サガン』『OKミューズガリバーEX』『ロベール』『わたがみ』の5種。
竹尾のwebサイトに掲載された商品説明は次にようになっています。
(以下、囲み内引用)
サガン:繊細なエンボスによる、硬質な印象のファインペーパー。
OKミューズガリバーEX:ザクザク編み上げたエジプト綿のテクスチャー。
ロベール:ソフトで温かな自然の肌合い、自然は素材感を持つ高級印刷紙。
わたがみ:和紙風の質感と印刷適正を持つ、風格のある重厚な崇高紙。
それぞれの用紙に、S、M、Lモードのユニボイスコードを印刷して、読み取り検証スタートです。
印刷にはJAVISの仕様で推奨されている、解像度600dpiのレーザープリンターを使用しました。
その結果は…。
上の表で、◯は読み取り可能、×は読み取り不可能だったものです。
問題は△。これは、読み取りの時間がかかってしまったり、読めたり読めなかったりと結果が安定しなかったものです。
まずはっきりしたことは、エンボス加工された用紙は使用しない方が良い。
エンボスの凹凸によって、ユニボイスコードを構成するドットが正常に読み取れなくなっているようです。
コードの形を正しく認識できなくなってしまっているように見えます。
そして質感のある用紙、テクスチャーのある用紙でも、ものによっては使用が可能だということです。
公式には認められないかもしれませんが、非塗工紙も使えないわけじゃない。これが当社の結論です。
ただし注意すべき点があります。
①印刷精度
印刷の精度は、非塗工紙を使用するため必須の条件です。
今回の検証は当社の解像度600dpiのレーザープリンターを使用しています。業務用の印刷機なら更に精度が上がると思いますが、気にかけておくべき点です。
②誤り訂正“強”を使用
「誤り訂正」とはコードの汚れとゆがみ補正し、読み誤りを少なくする機能です。特に小さなサイズのコードを使いたい場合には必須です。誤り訂正を強くすると収録できるデータ量が少なくなりますが、小さなサイズのコードでも読める可能性が高くなります。
表中で△となっている『ロベール』のSモードでは、誤り訂正強の場合のみ読み取り可能でした。
③情報量は少なめに
これも小さなサイズのコードを使う場合に気をつけなければならないことです。
『OKミューズガリバーEX』のSモードでは、153文字、188文字分のデータを収録したコードは読み取れましたが、218文字を収録したコードは読み取れませんでした。
仮名漢字さらにアルファベット混じりの文章を二次元コードに変換する音声コードは、表記内容によって収録できる文字数が著しく影響を受けます。一応の収録目安となる文字数が公表されていますが、それを下回ることがあります。
音声コードの文字数については、過去のブログをご覧ください。
情報が多ければコードは複雑性を増し、少しの汚れやゆがみで読み取りが不可能になることがあります。
用紙のテクスチャーから受ける影響も大きくなると思われます。
ユニボイスコード内の情報を抑えつつ、コードが持っているハイパーリンク機能を活かし、それを入り口とした導線設計をお奨めします。
最後に今回の検証作業でSモードのコードを生成した場合の誤り訂正の強弱と文字数の関係をあげておきます。
誤り訂正 強 188文字
誤り訂正 中 212文字
誤り訂正 弱 253文字
「こんな用紙に印刷したい」などのご希望があれば、当社の高精度プリンターで試作もいたします。
音声コード ユニボイスの可能性を広げて、多くのものに掲載されるようになることを期待しています!
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