世田谷区では「商店等における地域共生社会促進助成事業」として、障害のある方が商店や事業所等を利用しやすくなるための物品購入や物品作成する経費を助成する事業が行われています。
●物品の購入
上限は7万円。「段差解消用簡易スロープ」「筆談ボード」などの購入が対象です。
●物品の作成
上限は5万円。「点字メニュー」「写真付き音声コード入りメニュー」「コミュニケーションボード」などが対象です。
世田谷区のWebサイトには、本事業の実績一覧も掲載されています。
それによると平成30年度の助成対象物品は、「簡易筆談器」と「段差解消用簡易スロープ」が圧倒的に多くなっています。
令和元年度になると「点字メニュー」がちらほら出てきて、令和2年度以降、実績の公表されている年度では半数以上が点字メニューです。令和5年度の実績に至っては80%以上!
いくつか推測されることは、
●スマホの普及
聴覚障がいの方とはスマホを使ってコミュニケーションを取りやすくなった一方、視覚障がいの方とコミュニケーションを取るのはスマホを使ってもやや難しいところがある(スマホを使いこなしている当事者の方は多数いらっしゃいますが)。
●ドラマの影響
『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール』 2021年(令和3年)10月〜放送
『ラストマンー全盲の捜査官ー』 2023年(令和5年)4月〜放送
案外『ラストマン』効果かもしれませんね〜。時期的にも。
勝手な想像なので事実はわかりませんが、ここで気になるのは「点字」の識字率。
点字の識字率は視覚障がい者の10%程度と言われています。子どもの頃から全盲で盲学校に行かれた方は点字も難なく読めるようですが、中途失明の方が点字を習得するのはなかなか難しいそうです。特に高齢になってから点字を覚えるのは困難であるにもかかわらず、高齢になってから失明する方が多いのが現実。ロービジョン(弱視)の方も点字を使える方は少ないと聞きました。
ということは「点字メニュー」より、「写真付き音声コード入りメニュー」のほうがより多くの方に有効だと思うのです。
音声コードがあれば、全盲の方もロービジョンの方も音声でメニューを聞くことができます。また学習障がいの一つである読字障害の方にも有効です。
本助成金は、「メニュー」という言葉のせいか飲食店や理美容店の利用が多いようですが、福祉作業所や不動産業、アパレル関係の事業者さんも利用されています。柔軟に幅広く考えて良いのではないでしょうか。
多様なお客様をお迎えする小売店の皆さん、「写真付き音声コード入りメニュー」もぜひご活用ください。
グラフィックメイトでは、音声コードの作成や音声コード付き印刷物の制作を承っています。お問い合わせからお気軽にご相談ください。