2020年11月にオープンした「市谷の杜 本と活字館」は本づくりの文化施設です。活版印刷を事業の原点とする大日本印刷印刷株式会社の市谷工場が、竣工当時の姿に復元されてモノづくり工房として生まれ変わったものだそうです。
今は「ようこそ魅惑の書籍用紙の世界」という企画展が開催中。娘から「お母さん好きそうな企画展あるけど一種に行かない?」と誘われ行ってみました。
この企画展では「書籍用紙」という、本のためのさまざまな用紙が展示されています。その数なんと61種!
B5サイズに裁断された用紙が台に並べられていて、この中から好きな用紙を選んで(全種類選んでもOK!)自分だけのオリジナルのノートを作れるというもの。それぞれ微妙に色や厚みの違う61種、全部欲しいに決まってます!
B5サイズの用紙が乗っている台の上には、その用紙の全紙(裁断されていない紙)が吊るされていて自由に触れます。
それぞれ触ってみるのですが、全紙を触ったときとB5サイズに触ったときでは触り心地が微妙に違うように思えます。不思議。
あとでスタッフの方に話してみたら「そうなんです。サイズによって張りとか変わるんですよ。それに気づいてくれて嬉しいです」紙がお好きなんですね。
束見本(つかみほん)と呼ばれる、書籍を製本する前に作成するサンプルの展示もありました。同じページ数でも用紙によって本の厚みが異なること、小口から見える紙色が違うことなどがとてもよくわかります。最近はコスト重視で束見本を作る機会も減ってしまいましたが、仕上がりをイメージし良いものを作るためには飛ばしたくない工程だと思います。
目に優しい紙色、文字の透け具合、触り心地…書籍のための白を基本とした用紙でもそれぞれ違いがあり特性がいあります。当社はデザイン会社ではありますが、社史・年史、記念誌などの「本」を作る会社でもあります。お客様から相談されたときにはいろいろご提案できるようにしておきたい。
今回のオリジナルノートはそういう意味でも貴重なサンプルとなりました。娘、でかした!
企画展は2階の展示室で開催されていましたが、2階には制作室というコーナーもあり、卓上活版印刷機ほかさまざまな印刷機があり、しおりなどオリジナルの印刷物を作ることができます。2階の一角には図書閲覧コーナーがあるのですが、ここのベンチはなんと、大きな活字になっています。
1階は常設展で、活字を作るところから本ができあがるところまでの工程を見ることができ、これも興味深い。
建物自体もとても趣があり温かみを感じる建物でした。